母の短歌42


お日待ちの朝より炊きし一俵の飯

   千個のむすびに握り終へたり



おしなべて素枯るる中に株増えて

   万年青のみどり凍みに耐へたり



七十路越ゆれば一日一日が貴しと

   従兄弟の言ふをしみじみと聞く



庭内の裸木の雪とけ始めて

   午後の日ざしにしきりと雫す