女神さまとの約束


   女神さまとの約束46


それから、十年がすぎました。
硫黄岳での生活は、夏は涼しく快
適でした。



夏の間は、白駒の背に乗って、硫
黄岳を散歩します。
ふくは、駒草やウルップ草などの
花をみるのを、楽しみにしていま
した。



でも、冬は寒さがきびしく、雪が
何メートルも積もります。
雪は、六月末ころまでとけません。
部屋の中はあたたかでしたが、長
い間毎日白い雪をみてくらさなく
てはなりません。



ふくは、けわしい岩場の生活に、
だんだんあきてきました。 
病人をすくうことにも、むなしさ
を感じるようになっていました。



「女神さまが、自分で病人をすく
えばよいのに。なぜ私がすくわな
くてはならないの」
こんな気持になることも、たびた
びでした。


             つづく



     昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090816#p1




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     女神さまとの約束1


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