開善寺の早梅の精5
女の人は、いつここへきたのでしょ
うか。
年のころは、二十才。
いや、もっと若いかもしれません。
清楚な、上品な人でした。
女の人は、紅色の着物の上に、白い
上衣をきています。
「なんて美しい人だろう。梅の精み
たいなひとだ」
文次は、心の中でそっとつぶやきま
した。
「美しい花じゃのぅ。
香りもすばらしい」
文次は、女の人に話しかけました。
すると、女の人は、にっこりほほえ
みました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091228#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1
「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。