風の神様からのおくりもの9
この地方に住んでいる人々のやさ
しい気持が、黄金色のまゆ玉にな
るのだそうです。
風の神様は、四百年にひとつだけ
とれる黄金色のまゆ玉を、とても
大切にしておりました。
そのまゆ玉は、たとえ風の神様が
もうひとつほしいと思っても、な
かなか手にはいらない貴重なまゆ
玉だったのです。
とくに、この頃は、人々にやさし
さがなくなり、「自分さえよけれ
ば、他人はどうなってもよい」と
いう人がほとんどです。
だから、ニ千年位たたないと、黄
金色のまゆ玉は手にはいらなかっ
たのです。
黄金色のまゆ玉は、この地方に住
んでいる人々のやさしさをしめす、
鏡のようなものでした。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100514#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100507#p1
「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。
心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。
信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。
童話集「風の神様からのおくりもの」