[童話]女神さまからのおくりもの
女神さまからのおくりもの 61
第四章 ゆうすげの花咲く高原で 12
「ああ、その話、庄屋さまから聞
いたことがある。昨年の秋、麦草
峠の近くの山へ、きのこをとりに
行った。その時、道に迷った話を
してくれた。
そういえば、『このあたりに、湖
があったはずなのに、なぜないの
だろう』、そうひとりごとをいっ
ていた」
「とうちゃんは帰る道をさがして、
山の中をあちこち歩いたみたい。シ
ラビソやコメツガなどの原生林を
ぬけると、突然目の前に、大きな
美しい湖があらわれたそうよ。楓
が真っ赤に紅葉していて、目がさ
めるようだったと話してくれたわ」
つづく