[童話]火とぼし山
火とぼし山 55
湖を泳ぐ娘 1
月のきれいな夜でした。
手長と足長は、諏訪湖で魚をとっていました。
手長は、魚をとるのが上手でした。
今夜も、大きな鯉を三匹もつかまえました。
「ねえ、あなた。明日の朝、この鯉を明神さ
まに届けましょう」
「そうだね。明神さまは鯉が好きだから、よ
ろこぶじゃろ。大きな鯉だから、さしみにし
て食べたら、さぞうまいだろうな」
「甘露煮の方がおいしいわ」
手長がいいました。
二人が話をしていると、
「ばしゃ、ばしゃ」
遠くの方から、音が聞こえてきました。
「何の音だろう」
手長と足長は、あたりをみわたしました。
つづく