火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 27


第三章 湖の氷の上を歩く娘 9


「大好きな青年に、会うためじゃ。湖の氷
の上を歩けば、短時間で青年の所へ行ける。
娘が毎晩会いに行くとは思わないが、娘を
みはっていてほしい。手長と足長に頼んで
おけば、安心じゃからのぅ」


「明神さま。その娘は、どこに住んでいる
のですか」
「どこに住んでいるか、わしも知らん。今
夜会ったばかりだから。でも、湖の東側に
住んでいることだけはたしかじゃ。名前は、
きよというらしい」


「じゃあ、早速調べてみましょう」
「手長、足長。娘のこと、頼んだぞ」
明神さまは、手長と足長に、娘のことをお
願いしました。


         つづく