火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 64


湖を泳ぐ娘 10


「今夜は、きよちゃんの話についていけない」
次郎は、心の中でそっとつぶやきました。
きよちゃんが、いくら泳ぎが達者でも、こん
なに早く湖を泳いでくるなんておかしい。
どう考えても、変だ。


きよちゃんは、魚になったような気がすると
いっていたが、魚になどなれるはずはない。
きよちゃんには、諏訪湖に住んでいる魔物が
とりついているのではないだろうか。
ひょっとして、きよちゃんが、その魔物だっ
たりして。


         つつく