[童話]火とぼし山
火とぼし山 90
新しい出発 19
記憶がないまま、生まれ育った諏訪で暮ら
すのもつらかろう。
きよが生きていることを知ったら、次郎が
また何かするかもしれないし。
きよの両親も、記憶のない娘と暮らすのは
つらいだろう。
いろいろ考えた末、明神さまは、静岡の知
り合いにきよを預けようと思いました。
その夜。
「手長、足長。明神じゃ。用事があるので、
すぐきてほしい」
「はい、わかりました」
手長と足長は、いそいで明神さまのやしき
へ行きました。
つづく