井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 8


「こんな平和な世の中が、いつまでも続き
ますように。そして、おとうさまが、大好
きな絵や書をたくさん描けますように」
姫は、心の中でそっとつぶやきました。


天正十年(1582年)二月。
大島城に、戦の知らせが届きました。
織田軍が、伊那谷へせめてくる・・・と。
「織田というと?」
「信長の長男、信忠じゃ」
「信忠か、てごわい相手じゃのぅ。いつ伊
那谷にせめてくるのだろうか」
「さあ、わかりません。戦の準備をしてお
くようにとの知らせでございます」
信廉が、知らせにきた人と、小声で話して
いました。


        つづく