日本武尊と明神さまの弓

[童話]日本武尊と明神さまの弓


日本武尊と明神さまの弓 10


天皇は、ひいらぎの木で作った長い矛を、たけ
るに授けました。
たけるは休むひまもなく、東方の国へ向かって
旅立ちました。
旅の途中、伊勢の倭比売命を訪ねました。


「おばさま。私は、父からきらわれているので
しょうか。西方の熊襲や出雲を平定し、さきほ
ど国へ戻ったばかりなのに、父はまた東方の国
を征伐せよと命じました。兵もよこさず、家来
はたった一人。私は、どうやって、東方の十二
の国を平定すればいいのでしょうか。父は、私
を亡きものにしたいと思っているのでは・・・」
たけるは、なげき悲しみました。


         つづく