2019-12-05 開善寺の早梅の精 童話 [童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 14 袖の上に落ちて匂へる梅の花 梢に消ゆる夢かとぞ思ふ 「袖に落ちた梅の花は、夢の中でちぎった女 性のようだ」という意味の歌をよんだ文次は、 眠くなってねてしまいました。 女の人は、文次の寝姿をじっとみていました。 しきたへの手枕の野の梅ならば 寝ての朝けの袖に匂はむ 女の人は、「ちぎりをかわす相手が梅の花なら ば、翌朝はとてもよい香りが残っているでしょ う」とよんだのでしょうね。 女の人は歌をよむと、静かに奥へ消えていきま した。 つづく