2019-11-28 開善寺の早梅の精 童話 [童話]開善寺の早梅の精 開善寺の早梅の精 7 「うわさ通り、美しい花じゃのぅ。香りも すばらしい」 文次は、女の人に話しかけました。 すると、女の人は、にっこりほほえみました。 文次は、即興で歌をよみました。 ひびきゆく鐘の声さへ匂ふらん 梅咲く寺の入り相の鐘 「この寺では、鐘の音までも、梅の香りに 満ちている」、こんな意味の歌でした。 すると、女の人は軽く会釈をして、歌を返 してきました。 ながむれば知らぬ昔の匂ひまで おもかげ残る庭の梅が枝 つづく