2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

福寿草になった少女

福寿草になった少女18 次の朝。 守屋山のふもとの反対側で、雪で 真っ白になった福がみつかりました。 寒さのため、福はこごえ死んでしま ったのです。 「福や、福や。目をさましておくれ」 「福、なぜ守屋山へなど行ったの?」 大切なこどもをなくした夫…

福寿草になった少女

福寿草になった少女17 村の人々も、手分けしてさがして くれました。 しかし、福はどこにもいません。 「もしかして、守屋山へ行ったの では・・・」 小雪のちらつく中を、大がかりな 山狩りが、一晩中おこなわれました。 でも、福をみつけることはできま …

福寿草になった少女

福寿草になった少女16 しかし、一日中山の中を歩き回っ たせいか、もう一歩も歩けません。 福は、枯葉の上に腰をおろしました。 そして、いつの間にか、うとうと とねむってしまったのです。 福の体の上に、少しずつ少しずつ 雪が積もっていきました。 「…

福寿草になった少女

福寿草になった少女15 春がきたといっても、山の春は遅く、 木の芽がほんの少しふくらんでいる だけです。 どこをさがしても、黄金色の花など、 ひとつもありません。 枯葉が一面に落ちているだけでした。 福の足音と、鈴の音だけが、山の中 にひびきわた…

りゅうのひみつ日記

2月7日 よんだ[童話]鹿になった観音さまを読んだよ あたりをみまわすみたい おしまい 鹿になった観音さま2 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100208#p1 初めて読んでくださったかたへ http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1 「鹿になった観音さま…

福寿草になった少女

福寿草になった少女14 「黄金色の花って、どんな花かしら。 どんな形をしているのかしら」 福の頭の中は、黄金色の花のことで いっぱいでした。 「黄金色の花、黄金色の花。 黄金色の花がみたいなぁ」 そういいながら、福は細い急な道を、 どんどん登って…

童話集「竜の姿をみた少女」

昨年12月、「鳥影社」から、 みほようこの五冊目の童話集 「竜の姿をみた少女」が、発売さ れました。 ビーケーワン・アマゾン・楽天・ 紀伊国屋書店・ジュンク堂などで、 本を発売中。 本が発売されて、50日。 全国の公立図書館でも、本を購入し ていた…

福寿草になった少女

福寿草になった少女13 それから一年が過ぎました。 山深い村にも、ようやくあたたか な春がやってきました。 ある日、福はたった一人で留守番 をすることになりました。 大勢の人に囲まれて生活している 福には、珍しいことでした。 一人で留守番をしてい…

福寿草になった少女

福寿草になった少女12 とうちゃんも若い時、黄金色の花 がみたくて、毎年守屋山に登って、 花をさがしたものだ。 しかし、なぜか一本も見つけるこ とができなかった。 村の人は、だれも黄金色の花をみ たことがないそうだ。 一度で良いから、黄金色の花を…

福寿草になった少女

福寿草になった少女11 「かあちゃん、なにかお手伝いす ることない?」 福は、家の手伝いもよくやりました。 「福ちゃん、あそぼ」 近所のこどもたちも、おおぜい遊 びにきます。 やしきの広い庭は、いつも近所の こどもたちでいっぱいでした。 福は、大勢…

福寿草になった少女

福寿草になった少女10 大人ばかりの静かなやしきが、と てもにぎやかになりました。 笑い声のたえない、明るい家にな ったのです。 「ほら、みて。福が笑っているわ。 かわいい笑顔ね」 「福がね、はいはいできるように なったのよ」 「つかまりだちができ…

りゅうのひみつ日記

2月3日 かんそう[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとりを 読んだよ 安心するんだよ おしまい 井戸で鳴く黄金色のにわとり24 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100203#p1 初めて読んでくださったかたへ http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1 「井戸で…

福寿草になった少女

福寿草になった少女9 「この子にたくさんの福が授かり ますように」 長者は、女の子に「福」となづけ ました。 「長者さまにかわいい女の子が授 かったそうだよ」 「だんなさまも奥様も、どんなに うれしいことか。 本当によかったのぅ」 「おやしきもこれ…

福寿草になった少女

福寿草になった少女8 「ねぇ、私にもだかせて」 奥さんは女の子を受け取ると、や さしくほおずりしました。 すると、お乳の甘いかおりが、ぷー んとしました。 女の子はつぶらなひとみで、じっ と奥さんの顔をみています。 そして、時々にこっとほほえみま…

福寿草になった少女

福寿草になった少女7 「なんで、こんなかわいい子を、 おきざりにするのじゃ」 「きっとわけがあったのでしょう。 こんなかわいい子ですもの、おかあ さんだって、てばなしたくなかった でしょうに」 かわいいこどもをてばなすなんて、 こどもの授からない…