福寿草になった少女


   福寿草になった少女16


しかし、一日中山の中を歩き回っ
たせいか、もう一歩も歩けません。
福は、枯葉の上に腰をおろしました。



そして、いつの間にか、うとうと
とねむってしまったのです。
福の体の上に、少しずつ少しずつ
雪が積もっていきました。



「福や、福や。おきるのじゃ。
こんな所でねていると、こごえし
んでしまうぞ」
うすれゆく意識の中で、福はその
声を聞きました。
その声は、どこかで聞いたことが
あるような、とてもなつかしい声
でした。


 
一方、用事からもどった夫婦は、
福が家にいないのに気づきました。
「福やー、福やー」
二人は、あちこちさがしまわりま
した。


           つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100209#p1



 初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100126#p1




童話「福寿草になった少女」は、
みほようこの二冊目の童話集「竜
神になった三郎」に、収録されて
います。

信州諏訪の「風の神様」から聞い
た話。