女神さまとの約束


   女神さまとの約束 4



からまつ林を通ると、るりびたきの声
も聞こえます。
福と白駒は、道なき道を登ったりおり
たりして、黄金色の花をさがしました。
しかし、どこをさがしても、黄金色の
花などありません。




次は、根石岳をさがしました。
でも、花はみつかりませんでした。
続いて、となりの山、硫黄岳をさがし
ました。でも、黄金色の花はみつかり
ませんでした。
硫黄岳の砂地では、ピンクや白の駒草・
紫色のウルップ草・白いうめばち草な
どの花が美しく咲いていました。




次は、横岳。
横岳には、黄色のみやまおだまきやりん
どう・みやまきんばいなどの花が、咲い
ています。
横岳でも、黄金色の花をみつけることは
できませんでした。
続いて八ヶ岳の主峰、赤岳。
ここにも、黄金色の花はありませんでした。
権現岳
西岳・・・と、白駒と福は、あっちの山、
こっちの山と、山々をくまなく走り、黄金
色の花をさがしました。
でも、花はみつかりませんでした。




黄金色の花といっても、どんな形をしてい
るのか、どれくらいの大きさなのか、くわ
しいことは何もわかりません。
わかっていることは、ただひとつ。
その花が、黄金色をしており、ぴかぴか光
っているということだけ。
「白駒、あなたは八ヶ岳で黄金色の花をみ
たことがある?」 
「いいえ。私はいつも女神さまと一緒です
が、ぴかぴか光っている黄金色の花は、一
度もみたことがありません」
白駒は、いいました。




福と白駒は、朝からずっと走りまわっていた
ので、くたくたに疲れていました。
「白駒、疲れたでしょ。少し休みましょうか」
「そうですね。少し休みましょう。けわしい
山道だから、疲れますね」
福と白駒は、三十分位休みました。
遠くに、諏訪盆地がみえます。諏訪湖もみえ
ました。小さな諏訪湖をみると、遠くへきた
のだなと、福は思いました。




「白駒。とうちゃんは、大丈夫かしら?」
「女神さまが守ってくださっているから、
おとうさんのことは、心配しなくても大丈夫
ですよ。それより、福さん。これからどうし
ますか」
「もう少し、黄金色の花をさがしてみます。
白駒、おねがいしますね」
福は、あらためて白駒にお願いしました。




      つづく