童話「竜の姿をみた少女」


   童話「竜の姿をみた少女」9


「がば、がばっ」
遠くで大きな音がしました。
そして、湖に大きな波がたちました。
「なんだろう?」
よくみると、湖のむこうから、竜らしきものが
近づいてきました。



「わぁ、竜だぁー!!この湖には、竜がいたん
だぁ」 
かなは、大声でさけびました。 
「かな。わしは、大昔この村に住んでいた三郎
じゃ。わしは、この村が大好きじゃ。だから、と
きどきここへ遊びにくるのじゃ。おまえとも、何
度か話をしたのぅ。



わしは、さっきのじいさんじゃ。
かな、わしが住んでいる諏訪湖へつれていってあ
げよう。諏訪湖では、妻が待っている。妻に、お
まえのことを話したらのぅ、妻がどうしてもおま
えに会いたいというのじゃ。さあ、かな。早く、
わしの背中へおのり」
おじいさんがいいました。



かなはいわれるままに、おじいさんの背中にのり
ました。
「さあ、出発するぞぉ」
「はぁっ、はっ」
おじいさんは、大きな息をはくと、かなを背中に
のせて、空高くまいあがりました。
「わぁー、いいながめ」
かなは大よろこび。
いくつもの山、いくつもの里をこえ、二人は諏訪
湖へむかってとんでいきます。


  つづく