愛犬りゅう「ばいばい、またね」


愛犬りゅう「ばいばい、またね」24


「わっ」
「わぁっ」
「わっー」
「わん」となきたいけれど、うまく「わん」と
鳴けない。
なにしろぼくは「わん」とないたことがないの
だから、無理もない。
あーちゃんは二階で仕事をしているのか、下へ
おりてこない。




何度か「わっ」「わぁっ」とやっているうちに、
やっと「わん」と鳴けた。
おじさんはぼくの「わん」という声にびっくり
して、台所の中をのぞくのをやめた。
そして帰って行った。
おじさんはあーちゃんに用事がなかったのだろ
うか?




ぼくの「わん」という声を聞いて、あーちゃん
が二階からとびおりてきた。
「りゅう、やっとわんと鳴けるようになったの
ね。りゅうはわんと鳴けないのではないかと心
配していたのよ」
そういって、あーちゃんはやさしくぼくの頭を
なぜてくれた。


つづく