きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒8


「はい、わかりました。きよちゃん」
清太は、てれくさそうにいいました。
そんな清太を、きよはうれしそうに
みています。



「さあ、白駒。出発するぞ」
清太が、白駒に声をかけました。
「清太さんは、白駒が好きなのね」
「うん。おらは、白駒が大好き。
白駒も、おらを好きだと思うよ。
ねえ、白駒?」



「私も、清太さんが大好き」というよ
うに、白駒は「ひひーん」となきまし
た。
「私、清太さんと一緒に、馬を走らせ
ている時が、一番幸せ」
「おらも。きよちゃんと一緒に、馬に
乗っている時が、一番幸せだよ」
夢中で話をしているうちに、高原へつ
きました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬