きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒52


麦草峠の近くに、もみやつがなどの原
生林があると聞いたけれど、どこにあ
るのだろうか?
清太は、森の中をあちこちさがしまし
た。でも、もみやつがの木は、どこに
もありません。



清太は、倒れた木の上で、一休みしま
した。
持っているおにぎりは、三つだけ。
どんなに腹がへっていても、全部食べ
てしまうわけにはいきません。
清太は、おにぎりを一つだけ食べました。
水も一口だけ飲みました。



「ゆうすげの花をみにいった時に食べ
たおにぎりは、うまかったな」
清太は、きよがにぎってくれたおにぎ
りを、なつかしく思い出しました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。