きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒64


   第五章 白駒の池


「長者さま。た、大変です」
白駒の世話をしている人が、あわてて
長者をよびにきました。
「なにごとじゃ」
「し、白駒が馬小屋におりません」



「なに? 白駒がいないと。
白駒は、いつからいないのじゃ」
「わかりません。今、馬小屋をのぞい
たら、白駒がいないので知らせにきま
した」



「白駒は、わしの大切な馬じゃ。
みんなで手分けして、白駒をさがして
ほしい」
長者は、みんなにお願いしました。



娘のきよは、部屋にとじこもったまま
でてこないし、清太は行くえがわから
ないし。
その上、大切にしている白駒までいな
くなってしまうなんて。


               つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という伝説
があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。