きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒47


「清太、元気でくらすのだよ。幸せ
にくらしておくれ」
長者は、なごりおしそうにいいました。
私は、きよも清太も、どちらもてばな
したくない。二人とも、いつまでも自
分のそばにいてほしい。



自分にもう少し勇気があったら、きよ
と清太を結婚させてあげられるのに。
きよ、そして清太。勇気のない私を、
どうか許してほしい。
長者は、心の中で二人にわびました。



「では、これで失礼します。明日は早
いので、あいさつをしないででかけま
す。どうかみなさまによろしくお伝え
ください。
いろいろお世話になりました」
そういって、清太は長者の部屋をでま
した。


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。