きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒72


「きよと清太は、こちらの国にいた時、
とても仲のいい夫婦だったのですよ。
だから、初めて会った時、強く心をひ
かれたのでしょうね」
「だから、清太さんが大好きだったの
ですね。清太さんは、今どうしている
のでしょうか」



「清太は、あなたのおとうさんに追い
出され、生きる気力をなくしてしまい
ました。
清太は、森の中の湖へとびこもうとし
ました」



「清太さんが・・・湖に・・・ですか? 
では、湖でなくなったのですか」
「いいえ。私が清太を助けました」
「女神さまが?」
「はい。自殺をすると、どの人も元の
国へ帰ることができません。
何千年も何万年も、いや何十万年・・・も、
真っ暗な所でくらさなくてはなりません」


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。