きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒74


清太の場合は、この世での使命がほと
んど終わっていました。
だから、諏訪の神様の許しを得て、私
がこちらの国へつれてきたのです」



「清太には、もう少しこちらの国で暮
らしてほしかったのですが、食べては
いけない木の実を食べてしまったので
す」
「食べてはいけない木の実って?」



「真っ赤な美しい木の実です。
神様だけが食べることを許されている
木の実なのです。この木の実を、一つ
でも食べたものは、もうこの世で暮ら
すことはできないのですよ」



「その木の実は、湖の近くにあるので
すね」
「はい。でも、その木の実は、人間の
目にはみえません。
でも、清太の心は、澄みきっていました。
そのため、何かの拍子に、赤い木の実
がみえたのでしょうね。



清太に聞いたら、穴に落ちた時赤い木
の実がみえたといっていました。
うまそうだったので、つい木の実を一
つ食べてしまった・・・と」


               つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。