火とぼし山


   火とぼし山38


「みよちゃん。よくここがわかっ
たね」
「おじさんに教えてもらったの」
「そうか。桑畑で、みよちゃんに
会えるとは思わなかったな」
次郎が、にこにこしながらいいま
した。



「これは、いったいどういうこと
なのじゃ。わしには、さっぱりわ
からん」
明神さまは、小声でつぶやきました。
そして、桑のかげから、二人の様
子をじっとみていました。



次郎とみよは、楽しそうに話をし
ています。時々笑い声も聞こえて
きました。
「おもしろい娘じゃのぅ」
明神さまは、みよの話を聞き、く
すっと笑ってしまいました。


           つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。