火とぼし山


   火とぼし山70


「次郎さんは、なぜそんなことを
したのでしょう」
「おまえが、じゃまになったから
じゃ」
「私が、じゃま?」
「そうじゃ」



「私が、じゃまだなんて」
「次郎は、大きな農家の一人娘と
つきあっていただろ。
主人から、姪と結婚してほしいと
いわれ、どうしたらよいのかわか
らなくなってしまったのだろう。



次郎は、小さな時から、おまえの
ことが大好きだった。
でも、将来を考えると、大きな農
家のむこになった方がいいと思っ
たのだろう」


            つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。