火とぼし山


   火とぼし山74


三日後。
きよの意識がもどりました。
「きよ。気がついたか。よかった
のぅ」
明神さまが、ほっとした顔でいい
ました。



「きよ?」
「おまえの名前じゃ」
「私の名前は、きよというのですか」
「そうじゃ」
 きよは、自分の名前がわからな
いようでした。



「ここは、どこ」
「わしのやしきじゃ。
わしは、諏訪の神・明神じゃ」


           つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。