井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり21


「姫さま。私たちが最後まで姫さ
まをお守りいたします。
だから、あきらめずに甲斐へもど
りましょう」
おつきの人たちが、口々にいいま
した。



姫は、おつきの人たちと一緒に、
暗闇の中を逃げまわりました。
逃げまわっているうちに、姫は
おつきの人たちとはぐれてしま
いました。



「姫さま」
「姫さまー。どこにいるの」
おつきの人たちの声が、遠くか
ら聞こえてきました。
三河の兵士たちが、姫をおって
きます。
姫は、本丸の北方の断崖までお
いつめられてしまいました。


           つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話をヒントに
して、みほようこが書いた物語。