風の神様からのおくりもの


 風の神様からのおくりもの17


一年がすぎました。
まゆと同じころ生まれたこどもは、
どの子もつかまりだちができました。
発育の良いこどもは、外を歩いて
います。



でも、まゆは、ぺたんとねている
だけです。
ねがえりすらうてません。
おかあさんは、よそのこどもをみ
るたびに、胸がちくりと痛みます。



そんなある日。
「この家の子ね、まゆちゃんてい
うんだけれど、一年たってもまだ
ねがえりができないんだって。
ぺたんとねているだけだって」



「まだねがえりができないの。
早い子は、外を歩いているのにね。
まゆちゃんて、ちょっとおかしい
んじゃないの」
近所のこどもたちが大声で話しな
がら、家の前を通りすぎていきま
した。


           つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100522#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100507#p1



「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。







心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。


信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。


童話集「風の神様からのおくりもの」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html