瑠璃寺の青獅子


   瑠璃寺の青獅子9


木がみつかると、獅子頭を彫る
ための道具の手入れを始めました。
男は、仕事を始める前には滝へ行
き、不動明王にお参りします。



「わしは、獅子頭をみたこどもが、
びっくりして泣きだすような、そ
んな獅子頭を彫りたい。
不動明王さま、どうかわしに力を
かしてください」
そう祈りながら、滝にうたれました。



そして、たくさんののみを、一本
ずつていねいに研いでいきました。
男は、今までに、いくつもの仏像
を彫りました。
でも、祭につかう獅子頭を彫るの
は、初めてでした。



「瑠璃寺は、何百年も続いている
由緒ある寺。
その寺にふさわしい獅子頭を、わ
しは彫ることができるだろうか」
男は、不安でした。


            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101012#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1



「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。


物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。