火とぼし山


  次郎、西の村へ 2


「私は、あるわ。白鷺のように羽
があれば、自分が行きたい所へ
自由に飛んで行けるもの」
きよが、白鷺をみながらいいました。



「次郎さん。諏訪湖の西といった
ら、何を思い出す?」
「守屋山かな」
「私も」



「何年か前、福寿草の花をみに、
守屋山へ行ったことがあったね」
「おぼえている。あれは、七年前
の春。私が十才、次郎さんが十五
才の時だった。朝早く起きて、諏
訪湖のまわりを歩き、守屋山へ行
った。一日中、よく歩いたね」


        つづく