火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 35


第四章 一ヶ月に一度の出会い 7


「次郎さん。なぜ、ほんとのことを、主人に
いわなかったの。最初にきちんと話しておけ
ば、なんでもないことなのに。 次郎さんは、
私と会うことが迷惑だったの」
きよが、強い口調でいいました。


次郎は、こんなきよをみたことがなかったの
で、びっくりしました。
「いや、ちっとも迷惑ではない。ただ、きよ
ちゃんのことを、主人に話せなかったんだ」
「なぜ話せなかったの」
「なんか、はずかしくて。そんなにしょっち
ゅう家に帰るのはおかしいと、主人にといつ
められた。だから、きよちゃんのことを話し
たんだ」


        つづく