火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 36


第四章 一ヶ月に一度の出会い 8


「そうしたら、なんていったの」
「きよちゃんとは、月に一度、会ったらどう
かといわれた。野良の仕事が忙しいから、そ
ういったのだろうけれど」
「一カ月も、次郎さんに会えないなんて、私さ
みしい」
そういって、きよは家に帰っていきました。


「おや? 向こうから歩いてくるのは、あの
娘だ。名前は、なんていったかのぅ。そうそ
う、きよとかいっとったな。湖の氷の上で会
ってから、ずいぶんたつのぅ。何日ぶりじゃ
ろ。あの夜は、あの娘、とてもうれしそうな
顔をしていたのに、今日はなんだか元気がな
い。どうしたのじゃろ。青年とけんかでもし
たのかな」
明神さまは、奥さんの所から、上諏訪のやし
きへもどる所でした。


        つづく