[童話]火とぼし山
火とぼし山 58
湖を泳ぐ娘 4
すると・・・。
「あっ、次郎さんだ。約束通り、火をたい
てくれたのね。ありがとう、次郎さん。今、
行くからねー」
きよが、大声でさけびました。
みると、西の山に、小さな火がともってい
ます。
「あの火が、二人の合図なのか。それにし
ても、小さな火じゃのぅ」
「きよは、あの火がともるのを、待ってい
たのね。あの火は、二人をつなぐ命の火な
のでしょうね」
手長がしんみりいいました。
手長と足長は、小さな火をめがけて泳いで
いくきよの姿を、いつまでもじっとみてい
ました。
つづく