[童話]火とぼし山
火とぼし山 86
新しい出発 15
「手長、足長。今日はご苦労じゃった。家に
もどって、ゆっくりお休み。きよのことは、
心配するな。後は、わしが世話をするから」
「じゃあ、明神さま、よろしくお願いします」
手長と足長は、家へ帰りました。
きよは、意識がもどらないまま、眠り続けま
した。
きよ。おまえは、次郎ひとすじじゃったのぅ。
結婚する前のおなごが、たった一人の男性を、
十数年も思い続けるなんてすごい。
普通のおなごは、「あの人が好き」「この人が
好き」と、いろいろな男に心をうばわれるも
のじゃ。
つづく