火とぼし山


  新しい出発 19


「手長、足長。今日はご苦労じゃ
った。家にもどって、ゆっくりお休
み。きよのことは、心配するな。
後は、わしが世話をするから」
「じゃあ、明神さま、よろしくお願
いします」
手長と足長は、家へ帰りました。



きよは、意識がもどらないまま、
眠り続けました。
きよ。おまえは、次郎ひとすじ
じゃったのぅ。結婚する前のお
なごが、たった一人の男性を、
十数年も思い続けるなんてす
ごい。


       つづく