鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 18


「三郎さ。鹿狩りにはいかないのかい」
「はい、和尚さま。あれいらい、わしは鹿狩り
をやめました。弓をひくこともしません」
「そうか」
「和尚さま。今日は話があってやってきました」
「三郎さ、話ってなんじゃ」


「和尚さま。わしが持っている田畑や山林を全
部寺に寄進したいのですが」
「何、全財産を寄進してくれると」
「はい、今まで殺生をしてきたつぐないとして、
全財産を寄進したいと思います」
「そうか。三郎さ、ありがたくいただくぞ。本
尊の観音さまもさぞ喜んでおられるだろう」
三郎は、全財産を寺に寄進しました。
そして、寺の手伝いをしながら暮らしました。


         つづく