開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


開善寺の早梅の精 10


「わしは、戦が大きらいじゃ。罪もない人を
傷つけたり、殺したりするのをみていると、
ほんとにむなしくなる。一日も早く、戦のな
い世の中になってほしいものじゃ」
「そうですね。平和な世の中になるといいで
すね」
女の人は、しんみりいいました。


「どこの人だろう。京の人かな」
文次は、女の人のことが気になりました。
「文次さん。私の家へ寄っていきませんか」
「えっ?」
文次は、心をみすかされたような気がし、ど
きどきしました。


         つづく