ふしぎな鈴「かな生まれる」
小桜姫がなくなってから、五百年近い月日が
たちました。
南アルプスの山々が美しくみえる町に、女の子
が生まれました。かなが生まれた時、丘の上の
桜がとても美しく咲いていたそうです。
かなは、おとうさんとおかあさんと三人で暮ら
しています。おとうさんは町の小学校へ勤めて
いました。
かなは笑顔のすてきな、心の優しいこどもでした。
かなの庭には、南天・梅もどき・まゆみなど、実
のなる木がたくさん植えてあります。その木へ、
小鳥がたくさんやってきます。
「ホーホケキョ、ホーホケキョ」
四月になると、庭へうぐいすがやってきます。
かなはうぐいすがくるのを、毎日楽しみにして待
っています。
「かっこう、かっこう」
五月末になると、裏の林へかっこうがやってきま
す。かっこうは大きな声で一日中鳴いています。
「もうすぐ夏がくるのだな」
かっこうの声を聞くと、かなはそう思います。
「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」
晴れた日には、とびが良い声で鳴きながら、上空
をまっています。
かなのおとうさんは、小鳥や花が大好きでした。
「かな、きてごらん。まゆみにおなががきているよ」
庭へ小鳥がくると、おとうさんはかなを呼び、小鳥
の名前を教えてくれます。かなは小鳥の名前や鳴き
声を、自然におぼえました。
そして、小鳥たちと大の仲よしになりました。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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