ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」の章


ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」8


なくなる少し前、姫はぼだい寺の和尚に、大切に
していた二つの鈴を預けました。
「私もじきに死ぬだろう。でもいつかこの世に再
び生まれてきたい。生まれ変わって、大好きな父
や母、夫とともに、もう一度この世で暮らしたい」
姫はこの世に生まれてくることを、強く望みました。



ある夜、姫は夢をみました。
桜の花が美しく咲いている下で、少女が鈴をもらっ
ている夢でした。
「かな、この鈴を大切にするのだよ」
長いひげの人は、その少女を「かな」とよんでいます。
「私はかなという少女に生まれ変わるのかもしれない」
姫はなぜかそう思いました。



「数百年後、山深い町にかなという名前の女の子が生
まれるので、二つの鈴を、その少女に渡していただき
たい」
ぼだい寺の和尚に、姫はお願いしました。
大切な鈴を預け安心したのか、姫はしばらくして静か
になくなりました。
「心の優しいおくがたさまだったのに、なんでこんな
に早くなくなってしまったのだろう」
藩の人々は、なげき悲しみました。



「そういえば、おくがたさまはいつも花や小鳥と楽し
そうにお話をしておられたが、おくがたさまは花や小
鳥のことばがわかったのだろうか」
何も知らない藩の人々は、そういって不思議がりました。




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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