竜神になった三郎


   竜神になった三郎


http://www.geocities.jp/dowakan/saburou1.html



一部分を紹介します。


素敵な妻を迎えた三郎をみて、太郎と次郎は、心
おだやかではありません。
「三郎は、良い嫁をみつけたな。なんでもできる
し、その上すげえ美人だ。ほんとうにうらやまし
いな」
太郎と次郎は、会うたびに三郎の妻の話をしました。



二人は、三郎がうらやましくてしかたがありません。
なんとかして、幸せいっぱいの三郎を困らせてやろ
うと、二人は相談しました。
人がうらやむほど、仲の良い兄弟だったのに、どう
したのでしょうか。
「どうやったら、三郎をぎゃふんといわせることが
できるかな」
二人は、何ヶ月もかけて相談しました。
兄たちがそんな悪い相談をしているとは夢にも思わ
ない三郎は、今までどおり兄たちと仲良くしていま
した。



山深い村にも、ようやくあたたかな春がやってきま
した。太郎と次郎は、今日もこそこそと悪い相談を
しています。
「次郎や、たてしな山の奥に、人穴があるそうだ。
その穴へ落ちると、二度と戻ってこられないそうだぜ。
その穴へ、三郎を突き落としてしまおうか」
「兄さん、そんなことをしたら、三郎がかわいそうだ
よ。三郎だって、人穴のことは知っているし、その計
画は無理だよ」
「それもそうだな。ほかに何か良い考えはねえかな」
二人は、会うたびに三郎を困らせようと相談しました。



そんなある日。
諏訪湖の真ん中あたりに、うずをまいている深い場
所があると、年寄りから聞いたことがある。そこは底
なしのふちになっているらしい。そうだ、三郎をその
うずの中へつきおとしてしまおう。そうすれば、いく
ら泳ぎのうまい三郎でも、おぼれしぬだろう。
しめしめ、これは良い考えだぞ」
太郎がいいました。



「三郎は魚をとることが大好きだしな。魚つりといえば、
三郎もけいかいしまい。これは良い考えかもしれんな」
次郎も賛成しました。
ついに二人は、悪魔のような恐ろしいことを考えついた
のです。


竜神になった三郎」より




竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話
集・「竜神になった三郎」に収録されています。



竜神になった三郎」は、2004年4月、「鳥影社」
から発行されました。




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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