ふしぎな鈴


「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話。
昨年九月、「鳥影社」から発行されました。
風の神様からのおくりものシリーズ3。



リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と現代の少女
を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
風の神様が、そっと教えてくれたお話。



「ふしぎなリュック」の章の一部を、紹介します。



先生が鈴をなでた時、不思議なことがおこりました。鈴
がぴかっぴかっと黄金色に輝きだしたのです。
すると、先生の背中のリュックが、鈴めがけてころんと
ころがってきました。
そして、灰色のリュックも、ピカッピカッ、キラッキラ
キラと、黄金色に輝きだしたのです。



「なんて美しい鈴の音だろう。私はこの桃の鈴をもって
いる少女に会える日を、ずっと長い間、そう五百年近く
じっと待っていたのです。やっと、探していた鈴と少女
に会うことができました。私はとてもうれしい。私はた
だの古いリュックではないのです。遠い昔、三浦家に伝
わったリュックで、行きたいと思う所へ、さっと飛んで
いける不思議なリュックなのです。かなさんが好きな月
や星へも行けますよ。なくなったおとうさんたちが住ん
でいる国へも、飛んで行けるのですよ」
リュックはそういいました。




かなと先生は、びっくりしてただ顔をみあわせるばかり
でした。
「十年後、この丘の桃の花が満開になった日、かなさん
が行きたいと思う所へ、つれていってあげましょう」
そういうと、黄金色のリュックは、またもとの灰色のリ
ュックにもどってしまいました。気がつくと、鈴ももと
の鈴にもどっていました。
「十年後、桃の花が満開になった日、またこの丘であおう」
先生はかなとかたく約束しました。








      ふしぎな鈴裏表紙

 





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ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)