竜の姿をみた少女


    竜の姿をみた少女8


その後。
かなは、湖のほとりで、何度かおじいさんに会い
ました。
「知らないおじいさんだけれど、どこのおじいさ
んかしら。別荘のかたかな」
かなは、おじいさんのことを、みんなに聞いてみ
ました。




「私、白い着物をきたおじいさんなんて、一度も
みたことがないわ」
「ぼくも、みたことがない」
「私も」
「かなちゃん。この村には、長い杖をついたおじ
いさんなんて、一人もいないよ。どこのおじいさんかな」
みんなそういいます。
「じゃあ、私だけ、あのおじいさんをみているのかしら」
かなは、ふしぎに思いました。




八月末のある日。
むし暑い日でした。
かなは、湖のほとりで、またおじいさんに会いました。
「暑いのぅ」
そういいながら、おじいさんはかなの横に腰をおろしま
した。
「ぴゅー、ぴゅぅー」
湖の方から、涼しい風が吹いてきました。
「わぁー、いい風!」
「いい風じゃのぅ」
二人は、同時にさけびました。


つづく