じいじとせみ


   じいじとせみ6


次の日の夜。
じいじは、ばあばに見守られて、遠い国へ
旅立ちました。
そうしきの日。
「みーん、ミーン、ミーン」と、せみがに
ぎやかに鳴いていました。



あれからニ十年。
じいじからせみをとってもらったぼうやは、
この夏成人式をむかえました。



「みーん、ミーン、ミーン」
じいじが元気だった時と同じように、松の
木でせみが鳴いています。
青年は、じいじの顔をたった一度しかみた
ことがありません。
でも、じいじとずっと一緒に暮らしてきた
ような気がするのです。 


     おわり