じいじとせみ

[童話]じいじとせみ 6


ばあばが急いで病院へかけつけると、真っ青
な顔でベッドに横になっていました。
「ぼうやにこのせみをわたしておくれ」
じいじは、紙袋に入ったせみをわたしました。
こんな体になっても、まだぼうやと約束した
ことを守ろうとしているじいじ。
そんなじいじをいじらしく思いました。


「はい、はい。このせみを、ぼうやにわたし
ますよ。これはじいじがとってくれたせみで
すよって」
じいじは静かに目をとじました。
ばあばがきてくれて、ほっと安心したのでし
ょうか。


        つづく