ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」3
すると、どこからか声が聞こえてきました。
「かな、この星の耳かざりをあげよう。
この耳かざりをつけるとね、どんな願い事
でもかなうのだよ。
ただし一回きりだけれどね」
その声は、どこかで聞いたことがあるよう
な、なつかしい声でした。
「誰だろう?」
あたりをみまわしましたが、誰もいません。
空をみあげると、お月さまがにっこり笑っ
ていました。
「あっ!」
かなが大声でさけんだ時、お月さまの耳につ
いていた星が、するするとおりてきました。
そして、かなの耳に、ぴたっとつきました。
「なんてすてきな耳かざりだろう。
うれしいなぁ。お月さま、どうもありがとう」
お月さまにむかって、かなは何度もお礼をい
いました。
つづく
ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。
リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。
「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
「校長先生と桜の鈴」の章の挿絵 (裏表紙)
http://www.bk1.jp/product/02593627