きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒10


「座禅草はね、雪が降っても、霜がお
りても、二十数度に体温を保っている
んだって。 その体温で、雪をとかして
芽をだすそうだよ。
きよちゃん。このような植物を、発熱
植物というんだって」



「清太さんは、何でも知っているのね」
かあちゃんが教えてくれたんだ。
かあちゃんは、花や小鳥が大好きなん
だ。 きよちゃんにも、いつかかあちゃ
んを紹介するね」
清太は、自分は何をいっているのだろ
うと思いました。



長者のおじょうさまが、貧しいおらの
家に遊びにくることなんて、万に一つ
もないのに・・・と。
でも、かあちゃんに、きよちゃんを紹
介することができたら、どんなにいい
だろうと思いました。



「清太さんのおかあさんって、どんな
人?」
「とってもやさしい人。笑顔のすてき
な人かな」
「清太さんは、おかあさんが好きなのね」
「うん。大好きだよ」
清太は、にっこり笑っていいました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬