きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒38


きよは、心のやさしいきだてのいい娘。
それに、しっかりもの。
たとえ家柄がちがっても、息子の嫁に
なってほしいと思うだろうなと、長者
は思いました。



「きよ。正直にいおう。とうちゃんは、
清太が大好きだ。
清太は、誠実な心のやさしい青年だ。
体も丈夫だし、自分の考えもしっかり
もっている。
その上働き者だ。家柄のことを除けば、
清太はきよの結婚相手としてもうしぶ
んのない青年だと思う」



「とうちゃん。私は、本人がしっかり
していれば、家柄など気にしなくても
いいと思うけれど・・・」
「きよ。そうはいかない。とうちゃん
のわがままだということは、よくわか
っている。



とうちゃんは、長者の娘が、使用人と
結婚したなんて、村の人たちからいわ
れたくないのだ」
「私は、村の人から、なんといわれよ
うと平気だわ。
清太さんは、人間としてりっぱな人だ
もの。清太さんは、だれからも好かれ
ているわ」
きよは、きっぱりいいました。


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。