きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒42


「長者さまにいわれなくとも、私には
よくわかっております」
「清太。おまえは、自分が何をいって
いるのか、ほんとにわかっているのか」
長者は、腹がたってきました。
清太にというより、長者は自分自身に
腹をたてていたのです。



「はい、わかっております。私が家柄
の良い家に生まれていたら、おじょう
さまをいただきたいと、長者さまにお
願いしていると思います」
「なんだと!! 清太」
長者は、ますますこうふんして、大声
でいいました。



「おれは、清太のことを、いつもじま
んに思っていたのに・・・。なぜだ!!」
長者は、自分がみじめでした。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。