きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒54


湖のほとりでは、もみじやななかまど
の葉が、真っ赤に紅葉しています。
その姿が、湖面にうつりきれいでした。



「なんて美しい景色だろう。きよちゃ
んにみせてあげたいな」
美しい景色をみているうちに、いらだ
っていた清太の心は、だんだんにおだ
やかになってきました。



「今すぐやしきをでていっておくれ」
長者のことばを思い出すたびに、清太
はくやしい思いでいっぱいでした。
八年間、おらのことを、実のこどもの
ようにかわいがってくれた長者が、あ
んなひどいことをいうなんて・・・。



清太は、長者の気持がわかりません。
長者は、おらのことを、よく働く使用
人としかみていなかったのか?


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という伝説
があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。